三大うま味成分【グルタミン酸】【イノシン酸】【グアニル酸】をうまく掛け合わせると、相乗効果で料理がグッと美味しくなるのをご存知ですか?
- 「なんか味が決まらない」
- 「これに何を組み合わせたら美味しくなるかな…?」
- 「うま味の相乗効果ってよく聞くけど、なんなん?」
うま味成分の掛け合わせは料理の美味しさをUPさせてくれます。例えば
- グルタミン酸×イノシン酸
- グルタミン酸×グアニル酸
など。うま味×うま味で、料理の味がより美味しくなるんです。
本記事で、各種うま味成分が含まれている食材と、組み合わせの基本、おすすめ掛け合わせ例なども紹介します。
さらに、うま味成分の相乗効果を利用することで「減塩効果」や「ダイエット効果」にもつながるといったお話も!
本記事を読めば、料理の腕があがるだけでなく、健康の向上にもつながるので、ぜひ参考にしてください。
うま味成分一覧:グルタミン酸・イノシン酸・グアニル酸
まずは、どの食材にどんなうま味が含まれているかを見ていきましょう。
グルタミン酸、イノシン酸、グアニル酸、その他うま味成分を多く含む食材の代表例をピックアップしました。
うま味の掛け合わせ理論をすでに理解している人は、下の食材例を参考に今日の献立に役立ててください。
グルタミン酸
海藻類…こんぶ/海苔
野菜・お茶・豆類…お茶っ葉/白菜/セロリ/トマト/大豆/そら豆/枝豆/ニンニク
加工・発酵食品…ドライトマト/醤油/味噌/生ハム/アンチョビ/イカの塩辛/キャビア/干し椎茸/納豆/ナンプラー/オイスターソース/キムチ
魚介類…ほたて/煮干し/鰹節/するめいか/牡蠣/はまぐり
果実類…アボカド/メロン/キウイ/いちご/バナナ
乳製品…チーズ類
グルタミン酸はアミノ酸の一つで、多くの食材に含まれています。
日本で初めて発見されたうま味成分で、さまざまな調味料にも活用されています。
グルタミン酸は脳の活性化や美肌効果にもいいとされていて、そのほかアンモニアの解毒作用や利尿作用、脂肪の蓄積を抑える効果、血圧を下げる効果などがあるのです。
グルタミン酸は健康にいい影響をもたらすので、積極的に摂取していきたいですね。
イノシン酸
肉類…鶏肉・豚肉・牛肉など(非加工)
魚類…白身魚/赤身魚/かつお節/マグロ節/煮干し/しらす干し
イノシン酸は、生肉や海産物に多く含まれていて、特に海産物でイノシン酸が最も多いのはマグロ節です。
続いてかつお節、煮干しがイノシン酸を多く含みます。
そのほかの海産物についても、基本的にはイノシン酸が含まれていると覚えておくと良いでしょう。(一部例外もあり)
畜肉類では、豚肉がトップで、鶏肉、牛肉と続きます。
グアニル酸
干し椎茸・海苔・ドライトマト、ほたて貝、ポルチーニ、加熱したえのきなど
グアニル酸を多く含む食材は多くなく、干し椎茸が圧倒的にトップです。
しかし椎茸以外の多くのきのこは「冷凍するとグアニル酸が増える」という特徴があります。
知らなかった人も多いのではないでしょうか。
きのこを冷凍することで、きのこの水分が氷り、核酸が分解されることでグアニル酸が増えるというメカニズムです。
難しいことはよくわからない!という人は「きのこは一旦冷凍してから加熱調理すると美味しくなる」と覚えておいてください。
その他うま味成分
コハク酸…あさり、しじみ、牡蠣などの貝類(ホタテは少ない)
アスパラギン酸…アスパラガス
その他のうま味成分として、貝類のコハク酸やアスバラガスのアスパラギン酸などがあります。
あさりやしじみは、日本では味噌汁でもおなじみ。
美味しい出汁がでますよね。
アスパラギン酸は、アミノ酸の一種で、アスパラガスだけでなく、牛肉や豆類、さとうきびなどに含まれている成分です。
主にエネルギー回復の効果があり、スポーツドリンクにも活用されています。
その他、各食材にどれくらいのうま味成分が含まれているのか、具体的な数値を知りたい人は「うま味インフォメーションセンター(外部サイト)」を参考にしてみるのもいいかもしれません。
うま味の基本の掛け合わせ・相乗効果について
うま味成分はそれぞれ単独で使うよりも、以下のような掛け合わせをすることで相乗効果が現れ、料理の味がグッと美味しくなります。
- グルタミン酸×イノシン酸
- グルタミン酸×グアニル酸
上記に加え、コハク酸やアスパラギン酸もうま味として掛け合わせることもあります。
グルタミン酸×イノシン酸
グルタミン酸×イノシン酸の掛け合わせは古来から、世界中で使われてきました。
中でも代表的なのが「出汁(だし)」で、グルタミン酸×イノシン酸の掛け合わせで作られています。
- 和食出汁…昆布(グルタミン酸)×かつお節(イノシン酸)
- 洋食出汁…セロリなどの野菜(グルタミン酸)×牛肉や鶏肉(イノシン酸)
- 中華…ねぎや白菜(グルタミン酸)×鶏肉(イノシン酸)
上記以外もさまざまな組み合わせで、うま味の相乗効果が活かされた出汁やスープが作られています。
グルタミン酸×グアニル酸
グアニル酸は主に干し椎茸が代表的な食材で、昆布(グルタミン酸)×干し椎茸(グアニル酸)の相性は茶碗蒸しで有名です。
中華料理でも、干し椎茸(グアニル酸)と野菜(グルタミン酸)を使ったあんかけ料理など、うま味の相乗効果を活かした料理は多く見られます。
イタリアンだと乾燥ポルチーニがグアニル酸を豊富に含んでいて、野菜と煮込んでスープにしたり、ソースに使ったりと、うま味の相乗効果が存分に活かされています。
料理の味見をした際に「何か物足りないな…」と思った時、出汁や顆粒だしを入れただけで味がバシっと決まった…なんてことも経験あるのではないでしょうか?
出汁はうま味の相乗効果を最大限に発揮した魔法の調味料なんです。
「ナントカ酸の話はもういいから、食材の組み合わせが知りたいんだ」という読者も多いと思いますので、おすすめのうま味掛け合わせ例をいくつか紹介していきます!
おすすめのうま味掛け合わせ例
「メイン食材×掛け合わせるうま味成分」で表にまとめました。
メジャーな組み合わせや、個人的におすすめする食材の組み合わせを紹介しますので、好みに合わせて参考にしてください。
メイン食材(イノシン酸) | 掛け合わせるうま味(グルタミン酸) | 調理法 | 参考メニュー |
---|---|---|---|
肉類(牛・豚・鶏) | 昆布 | 生肉を1日昆布締めしてから焼いたりボイルしたり。 | ささみの昆布締め |
塩こんぶ | 焼いたお肉に塩こんぶを乗せて食べるとGood。 肉と野菜の炒めものの味付けにも良い。 | ステーキの塩こんぶ乗せ | |
トマト | 肉とトマトを炒める。 | 牛バラ肉のトマト炒め | |
トマトソース | ソテーしたお肉にトマトソースをかけたり、ひき肉とトマトソースを煮込めばミートソースに。 | 豚ロースのソテー、トマトソース | |
チーズ | 肉+チーズの相性は抜群!パルミジャーノをスライスしてかけたり、ピザチーズを乗せて焼いたり。アレンジは無限大。 | 牛のタリアータ+パルミジャーノ | |
生ハム | チーズ同様、肉+生ハムも最高です。 | 鶏むね肉の生ハムチーズ焼き | |
キムチ | キムチにも多くのグルタミン酸が含まれています。 | 豚キムチ タッカルビ | |
うに | 贅沢ですが、うに+牛肉の組み合わせはよく見かけるようになりました。 | 牛肉と雲丹のユッケ | |
魚類 | 海苔 | 海苔をそのまま合わせてもよし、磯辺焼きにしてもよし。 | まぐろと海苔のユッケ かつお出汁+海苔でパスタ |
昆布 | 白身魚の昆布締めは定番。昆布出汁にタラを入れた鍋も、うま味の相乗効果です。 | 鱈ちり | |
アボカド | アボカド+白身魚もとても相性が良いです。 | 鯛とアボカドのカルパッチョ | |
ドライトマト | 魚とドライトマトといえば、アクアパッツァ!ドライトマトを入れる理由がちゃんとあったんです。 | アクアパッツァ | |
かつお節 | 干し椎茸(グアニル酸) | かつお節と干し椎茸で取る出汁は最高のうま味の塊です。 | 茶碗蒸し |
チーズ | クリームチーズ+イノシン酸の組み合わせは覚えておきたい。 | クリームチーズ+鰹節+醤油 | |
ふぐヒレ | 日本酒(清酒) | 実はヒレ酒も、うま味の相乗効果が出ています! | ふぐヒレ酒 |
例をあげるとキリがないのでこれくらいにしておきます。あなたなりの組み合わせを見つけてくださいね。
ちなみに「生ハム+メロン」は豚肉とメロンだから「イノシン酸とグルタミン酸」の相乗効果と思われる方もいるかもしれませんが、実は違います。
生ハムは豚肉が加工されていくうちにイノシン酸が減少し、グルタミン酸が増えていきます。
つまり、生ハムメロンはグルタミン酸同士の掛け合わせなんです。
美味しいと感じるのは、塩味と甘味の相乗効果によるものでしょう。
うま味とは?旨味や”美味しさ”との違い
「そもそもうま味とはなんぞや?」と思う方もいるでしょう。
うま味とは、基本の5味と言われる「甘味・塩味・苦味・酸味・うま味」の中の一つで、いわゆる”美味しい”を表す「旨味・旨み・うまみ」とは別の意味で使われています。
うま味=美味しい、ではありません。
うま味を感じるメカニズム
実は近年まで、味覚は舌の部位ごとで感じるとされてきました。
例えば甘さは下の先端で感じ、苦味は下の奥で感じる…といった風にです。
しかし現代ではそれは誤りとされており、味覚は舌のどの場所でも均一に感じることができるそうです。
うま味も、甘味や塩味同様に、舌で感じることができるメカニズムになっていて、今でも味覚研究者たちが研究を進めています。
うま味の主な物質として、グルタミン酸・イノシン酸・グアニル酸があり、これらを口にすることで舌がうま味として捉えます。
とは言え、しょっぱい、甘い、苦い、酸っぱいはすぐに判断できる人が多いと思いますが、「これはグルタミン酸だ!」とか「ちょっとイノシン酸が強いな」と感じながら食事する人は、まあ稀でしょう。
なんだか難しいな…と思った人は、「うま味のベース=グルタミン酸・イノシン酸・グアニル酸」と覚えておくと良いです。
そして、それらうま味を掛け合わせることで、相乗効果によりうま味を強く感じる料理に仕上がります。
料理の幅が広がりますよ。
腐る手前が一番美味しいはホント
”腐る”は適切な表現ではありませんが、熟成させた食材はうま味がグンと増し、美味しくなります。
例えばトマトは、まだ若い緑色の状態ではうま味成分が多く作られていませんが、赤く熟すほどにグルタミン酸が増えていきます。
また近年では「熟成肉」といって、お肉を管理された環境下で何日も熟成させ、焼いて提供するという方法も定番になってきました。
さらに魚類も例外ではなく、熟成魚を使った刺身やお寿司も流行しています。
魚も肉も鮮度こそ正義と思っていましたが、熟成させることでよりうま味を増加させるというテクニックは、職人たちの研究の賜物なのではないでしょうか。
うま味の相乗効果で減塩効果やダイエット効果に!?
うま味の相乗効果で美味しいと感じることにより、減塩効果やダイエット効果につながります。
ダイエット効果については、研究結果も発表されていますので、参考にしてください。
減塩効果
うま味の相乗効果は塩分の摂りすぎを抑えてくれます。
「なんか味気ないな…」と、塩や醤油を足したりしていませんか?それでは塩分過多になってしまいます。
そこでうま味の相乗効果を活かすことで、塩分を足さなくても美味しく感じるようになります。
賛否分かれるとは思いますが、うま味を足す余裕がない人は、顆粒だしやうま味調味料を一振りするのも良いでしょう。
ダイエット効果
うま味を感じることで満腹中枢を刺激され、たくさん食べなくても満足感を得られます。
イギリスにある大学の研究によると「少量のうま味でも満足感を得られ、油脂や糖分を控えることができた」という結果が得られています。(画像)
うま味の相乗効果は、健康にも大きなプラス作用をもたらしてくれるのです。
うま味の相乗効果を意識することで料理の腕がアップ!
普段当たり前のように食べている料理の多くは、うま味の相乗効果が活かされていることがおわかりいただけたかと思います。
「うま味成分のことはなんとなく知っていたけど、具体的に知れてよかった!」
「色々なうま味の組み合わせを試してみたくなった!」
と、思っていただけたでしょうか。
いつも味付けが物足りないと感じている人や、同じ味付けで飽きている人には、本記事を参考にして、うま味成分の組み合わせを試してみてください。
また、普段の食事や外食などでも「これはグルタミン酸とグアニル酸の組み合わせか…!」とちょっと意識しながら食事してみるのも、面白いかも知れません。(間違いなく勉強にはなります)
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