「野菜は水にさらすと栄養が逃げる」でも結果的にさらしたほうが良いのでは?というお話

「野菜は水にさらすと栄養が逃げる」でも結果的にさらしたほうが良いのでは?というお話

料理家インフルエンサー、家族のための男飯もんきちです。

料理の動画やレシピを公開すると「野菜を水にさらすと栄養がなくなるから、さらさないほうがいいですよ」といったコメントをもらうことがあります。

野菜にはビタミンやカリウムをはじめさまざまな栄養素があり、例えば

  • ビタミンB群
  • ビタミンC
  • 葉酸

などは水溶性ビタミンと言って、水に溶けやすい性質を持っています。つまり、水にさらすと栄養素が溶け出てしまうのです。

それが理由で「野菜は水にさらさないほうが良い」と言われたりするんですね。

しかし、本当に水にさらさないほうがいいのか?実は水にさらしたほうが栄養を取りやすいのではないか?という話について、本記事でお伝えしていきます。

目次

野菜を水にさらすのはなぜ?意味や理由

野菜を水にさらすのはなぜ?意味や理由
キャベツは水にさらすとシャキシャキ&みずみずしくて美味しい!

そもそも野菜を水にさらすという行動には、以下のような意味があります。

  • 野菜が持つえぐみやアクを抜いて食べやすくするため
  • 野菜をシャキッとさせる
  • 野菜に水分を与えてみずみずしくさせる
  • 酢水や塩水につけることで断面の変色を防ぐ

ほかにも、「水に浸けて水分を含ませることで、油の吸収を控えめにできる」「じゃがいものでんぷん質を洗い流す」といった効果もあります。

難しいことはよくわからない…という人は、「野菜をおいしく食べるため」と捉えていただければ構いません。

では、野菜を水にさらすな!という人がいるのはなぜか?

野菜を水にさらしてはいけない理由

野菜を水にさらしてはいけない理由
切りたてのキャベツを食べておいしいと感じるのか?

ビタミンA、ビタミンB、ビタミンDなどは脂溶性ビタミンなので水にさらしても問題ありません。

しかし、水溶性ビタミン(ビタミンB群、ビタミンC、葉酸など)やカリウムは水にさらすと栄養素が水に溶け出てしまいます

栄養が取れなくなるため、水にさらしてはいけないといった意見があがるのです。

私の過去動画へのコメントには「キャベツの千切りは水にさらすと栄養がなくなるから、カスを食べているようなものだ」なんていう厳しい意見も。

果たして本当にそうなのでしょうか?

実は、その解釈は必ずしも正解とは言えないのです。

野菜を水にさらしたときの栄養素について

野菜を水にさらしたときの栄養素について

野菜を水にさらすと栄養素が抜けると言われますが、完全になくなるわけではありません。栄養素が抜ける量は全体のおよそ1割〜3割ほどだと言われています。

では栄養素が抜ける量についてもう少し深掘りして考えてみましょう。

水にふれている面積(=表面積)が大きいほど、水溶性ビタミンが水に流れ出てしまうというのは想像できるでしょうか。

例えば玉ねぎやキャベツなど、細い千切りにすればするほど水に触れる面積が大きくなるため、栄養素が抜けやすくなるということです。

とは言え、じゃあたまねぎもキャベツも水にさらさないでそのまま食べたほうがいいのか?と考えると、料理を多少知っている人であれば、そんなことはしないでしょう。

また、水に溶け出る量を減らすために玉ねぎの千切りを分厚く切ればいいのかというと、そうでもありませんよね。

なぜなら、水にさらしたほうが美味しくなることが多いから。逆に、水にさらさないとまともに食べられない可能性まであります。

できることならごはんは美味しく食べたいものですよね!では次に、水にさらしたほうがいい野菜について解説します。

水にさらしたほうがいい野菜

水にさらしたほうがいい野菜
たまねぎは水にさらしたほうが辛味やえぐみが少なくなり食べやすい。
  • たまねぎ
  • キャベツ
  • レタスなどの葉野菜
  • きゅうり
  • 人参
  • 大根
  • ナス
  • セロリ
  • ピーマン

上記はほんの一例です。判断基準のひとつとして、生野菜として食べるものは水にさらしたほうが美味しく食べられます。

美味しく食べられるというのは

  • 辛みや苦味が取れて食べやすくなる
  • シャキッとして食感がよくなる
  • みずみずしく感じる

といった、プラスの要素が働くということ。

逆に、加熱調理する場合は水にさらす必要がないケースがほとんど。むしろ、水にさらしてしまうと余計な水分を含み、加熱調理した際にべちゃっとしてしまう可能性があるので注意が必要です。

また人参や大根などの根菜類は独特の匂いがありますので、水にさらしたほうが匂いが柔らかくなり、味も食感も良くなります。セロリやピーマンも同様で、クセや苦味の強い野菜は水にさらすことで食べやすくなりますし、パリッとしてとても美味しいですよ。

お子さんがいる場合は特に意識してみてはいかがでしょうか。

加熱処理でも水にさらしたほうがいいケース

加熱処理でも水にさらしたほうがいいケース

水にさらす目的に、変色を防ぐというものもあります。

例えばナスやれんこん、ごぼうなどは切ったあと時間が経過するとともに切断面が変色していきます。そのため、切ってしばらく熱を入れない場合は、酢水につけて変色を防ぐといった方法を取ります。

薄い色で仕上げたり、見た目を重視したりする場合は、水にさらしておくと良いでしょう。

その他、じゃがいもはでんぷん質を持っている関係で、煮込みやスープなどは煮崩れしないように水にさらしたり、マッシュポテトやガレットなどはでんぷん質を活かすために水にさらさないなど、調理方法によっても変わることがあります。

このように、加熱する場合でも調理法によって水にさらしたほうがいいケースもあるというのは頭の片隅に入れておいてください。

野菜を水にさらす時間は?水にさらすタイミングについても

野菜を水にさらす時間は?水にさらすタイミングについても
たまねぎは2~3分程度で十分

ではどれくらいの時間、水にさらすのが最適解なのか?

水にさらしたほうが美味しいからといって、長い時間さらしておくのはよくありません。水にさらしている間、どんどん栄養素が抜けてしまいますし、野菜本来のうまみもなくなってしまいます。水分を吸いすぎて逆に食感が悪くなることも

野菜を水にさらすおおよその目安として、2〜3分から、長くても5分程度のイメージをもっておくと良いでしょう。そうすれば栄養素もそんなに抜けません。

また、レタスは大きいまま水につけてシャキッとさせ、水気をしっかり切ってから手でちぎってお皿に盛ることで、切断面から栄養が抜けることがありません。

その他、冷やしピーマンや野菜スティックなど、比較的大きいかたまりの状態で食べる場合には水にさらしてから切ることで、栄養の減りが少なくなるでしょう。

まとめ:野菜によって水にさらすorさらさないを使い分けよう

まとめ:野菜によって水にさらすorさらさないを使い分けよう
野菜を食べるイメージ

料理で大切なのは、おいしく食べること。栄養が取れなくなるからといって、無理して苦味の残ったたまねぎを食べても、食が進みませんよね。特に子どもは特に味に敏感です。苦い玉ねぎやモサモサのキャベツ千切りを食べて野菜が嫌いになってしまっては本末転倒です。

水にさらしてシャキシャキでみずみずしい玉ねぎスライスやキャベツの千切りであれば、おいしいと感じ、食べる量が増えるかもしれません。

ピーマンが苦くて食べられなかった子どもが、水にさらしたら苦味が取れて食べられるようになった!といったこともあるでしょう。

「野菜を水にさらすと栄養がなくなるんだよ」という言葉を聞いて、じゃあ水にさらすのはやめよう!と鵜呑みにするのではなく、「水にさらしたらどれくらい栄養が減るの?」という部分から深掘りしてみることで

「1割くらいしか減らないんだったら、水にさらして美味しく食べたほうがいっぱい食べれて、結果的に栄養たっぷり摂れるよね」

といった考えにもなるのではないでしょうか。

「栄養素」といった、いかにも人間が最も大切にしなくてはいけないと思われがちな部分にフォーカスしすぎて、トータル的に栄養不足になっている…なんてことが起きないよう、「おいしさへの意識」も忘れないようにしたいものです。

何事もバランスが大切。

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この記事を書いた人

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エコール辻東京・イタリア料理マスターカレッジ卒。「家庭料理のハードルを下げて笑顔を増やす」がモットー。冷蔵庫にある食材や調味料を使い、誰でも美味しく簡単に作れるレシピを発信。

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コメント一覧 (2件)

  • いつもありがとうございます。
    栄養がなくなるってよく聞きますが。楽しくおいしく食べるのが1番。料理するのも食べるのも嫌になったら栄養なんてとれない。
    ちょっとくらい栄養が薄れたからって美味しく食べるのが1番ですよね。

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